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自然がっこう旅をする木(とっとり森・里山等自然保育認証園)

今回は、中部にある「自然がっこう旅をする木」の活動の様子をご紹介します!(以下「旅をする木」と言います。)
旅をする木は、自然と暮らしをテーマにした山の上の小さな学び舎として、2015年春に倉吉市関金町にある福原集落の一軒家を改修し開設されました。2019年春に集落内の休耕田に電気や水道を引き、現在はみんなで手作りした小屋を拠点に活動をしています。

今年で7年目を迎える「自然保育のようちえん(満3歳〜就学前)」には9人の園児が在籍し、「自由な学び舎(小学生を対象としたオルタナティブスクール)」は3年目を迎え、6人の小学生が在籍しています。子ども達はスタッフと関わりながら、見守られているという安心の中で、自然にある様々なものを使って遊びの道具を作ったり、遊び方を工夫したり、日々の活動を通して心も体もたくましく成長しています。
 
「自然がっこう 旅をする木」の木造校舎。建物は、代表の得田さんのお父さんを中心にOBOGや保護者の方で建てられたそうです。

 

自然保育のようちえん(満3歳〜就学前)について
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自由な学び舎(小学生を対象としたオルタナティブスクール)について
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〇旅をする木は「自然保育のようちえん」と「自由な学び舎」のほかに、「自然育児サークル(3歳以下)」や「フリーキャンプ(年長から中学生対象)」の事業を展開しています。

 

旅をする木の由来について
旅をする木という名前の由来は、《極北の動物誌》という本の中の『旅をする木』という一節について、写真家の星野道夫さんが書いた同名のエッセイの言葉から引用されています。

「一羽の鳥によって運ばれた種から芽が出て1本の木になり、鳥が巣を作り、その後大雨によって倒れ、川に流された後は魚の住処になり、海へたどり着くと海鳥の止まり木として漂流し、再び陸に打上げられるとキツネのねぐらになり、次はそれを捕まえに来た人間の罠の目印となり、最後は暖炉で薪になり、煙として空に還る。」という1本の木の一生を壮大な自然の時間の流れで描写したお話です。

自由な流れに乗って旅をする一本の木のように、自然や人との関係の中で、子どもも大人も「いまの気持ち」に耳を傾け、“本当の自分になっていける場所を鳥取にもつくりたい”、そんな思いをきっかけに「旅をする木」の運営が始まり、現在の活動に至ります。

 

\\子どもたちの普段の様子に密着取材させていただきました//
今日も「旅をする木」に元気に通う子どもたち。
この日の朝は風が冷たくて少し肌寒く感じる気温でしたが、昼になるにつれて段々と気温も上がっていき、青空が広がっていました!

<おはようミーティング(午前)>
「旅をする木」の一日はミーティングで始まり、ミーティングで終わります。自由に過ごすためには、お互いのコミュニケーションが欠かせません。ミーティングは、「自然保育のようちえん」と「自由な学び舎」に分かれて行い、今日の体調、みんなに話したいこと、今日やりたいことを全員で共有します。その後、外で遊んだり、室内で絵本を読んだり、絵を描いたり、自分の気持ちを大切に、その日の活動を子どもたち本人が考えて過ごします。

部屋の窓を開けると、川のせせらぎ、鳥の声が聞こえ、風通しの良い環境です。寒い冬は暖かな薪ストーブで暖をとります。

 

<日々の活動(遊び) ~午前・午後~ >
休耕田と木造の校舎に加えて、森や川、田畑などの福原の自然環境すべてをフィールドとして、子どもたちの主体性を大切に活動しています。活動は「自然保育のようちえん」と「自由な学び舎(小学生)」の子どもたちで一緒に活動する時もあれば、分かれて活動する事もあり、小学生だけで野外活動や図書館に出掛けたりするなど、活動内容や行動範囲も様々です。
 
(写真左)小学生が火を起こし、夏は採ってきた魚を焼いたり、冬は暖をとったりしています。
(写真右)畑で育てている大根の葉を収穫している様子。

 
(写真左)手づくりの滑り台。夏は水を流してウォータースライダーに早変わり!
毎日、ニワトリも一緒に登校しています。

 
(写真左)スタッフに絵本を読んでもらっている様子。
(写真右)あったかいお風呂に入浴中~♪
日々の活動の中で、泣いたり、笑ったり、時にはケンカをすることもありますが、子どもたちは全力で遊んでいます。

 
午前の活動中にヘビが姿を現しました!子どもたちは得田さんの周りを囲んでヘビに興味深々の様子。この辺りにはヤマカガシやマムシも出ることがあるそうです。ヘビに限らず、草にも毒を持つ種類があり、触るとかぶれる事もあるので、「これを触ると危ないよ」と、実際に本物を目にしながら、スタッフから子どもたちに植物や動物のことを伝えているそうです。

 

<みんなの楽しみの一つ!美味しいお昼ごはん♪(正午)>
毎日キッチンスタッフが作ってくれるあつあつのご飯が、みんなの楽しみの一つです。キッチンからいい匂いが漂ってくる安心感、作り手の見える環境で旬の食材を中心としたあたたかい手作りごはんをいただきます。アレルギーのあるお子さんもみんなが同じ食事を食べられるように献立が作られているそうです。

取材当日のお昼ごはんのメインは焼き魚。キッチンから魚が焼ける香ばしい匂いが漂ってきて食欲をそそります。教室と繋がっている隣のガラス戸を開けて、キッチンスタッフに「できたあ~?」と、待ちきれない様子。

 
美味しい匂いがしてきたら “ごはんの合図”♪
家族のような雰囲気の中、キッチンスタッフの「ごはんできたよー!」の呼びかけで、食べたい子から食べたいタイミングでお昼ごはんを食べます。昼食後は午後の活動に入ります。

【今日の献立】
白米 / 焼き魚 / 切り干し大根の煮物 / 大根の葉の佃煮(午前中子どもたちが間引いて収穫した野菜)/お味噌汁

【おやつ例】
季節の果物、大学いも、玄米粉クッキー、わらび餅、おやき、ポン菓子など、素材の味を活かした素朴なものを提供しています。

 

<片付け・おやつ・帰りのミーティング(午後)>
 
みんなで片付けをした後、帰りのミーティングはおやつ(野菜チップス)を食べながら、今日一日の出来事(楽しかったことや困ったことなど)を振り返ります。


降園時の様子。大きなリュックを背負った女児の隣でまだお昼寝しているのが、犬のふくちゃん(メス/6歳)です。

 

<フィールドではこんな遊び(学び)をしています!>
 
夏は園舎(校舎)の裏を流れる清流で川遊びを楽しんでいます。
(写真右)「川を渡るにはどうすればいいか?!」自由な学び舎の子どもたちが試行錯誤の末、ロープや木の板を使って約2週間かけて作ったロープウェイ!

 
春は山へ出かけて行き、赤や黄色の実を探しながら野いちご摘みを楽しんでいます♪

 

<2児のお父さんで、代表の得田さんからお話を伺いました!>
これまで途上国を中心に世界30カ国以上を旅する中で、モノは無くても心が豊かな暮らしや、のびのびと意欲的に生きる子ども達の笑顔に出会いました。学校に行っていないけど英語をしゃべる子もいたり、途上国のキラキラとしている子どもたちの表情に “生きる楽しさって何?!” と衝撃を受けました。

2010年に日本へ帰国して、山梨県で環境教育を学んだ後、鳥取県に移住しました。2012年に訪れた徳島県にある自然スクールTOEC(トエック)で、幼稚園と小学校が一つの場所で混ざり合っていて “こういう育ちの場があるんだ!!” と、衝撃を受けました。TOECとの出会いをきっかけに、ゆったりとした流れの中で子どもの育ちに携わりたいと思い、夫婦で鳥取に「子どもたちがありのままで育っていける育ちの場」を作ることを決意して、同じ思いを持つスタッフと旅をする木を運営しています。

 

大事にしたいのは結果じゃなく、どうやってきたかのプロセス(過程)
「旅をする木」は、子どもたちの自ら成長しようとするエネルギーを出来るだけ邪魔しないために、あえて決まったプログラムは作らず、一人一人の今この瞬間の興味、関心に寄り添うことを大切に、今日一日をどう過ごすのかを子どもたち自身が考え、決めるという保育・教育スタイルです。何かが出来る出来ないという結果ではなく、子ども達がどんな思いで何をどれだけやりたいのかという意欲や何を考えてどう感じたか、一人一人が取り組んだプロセスを大切にしています。

 

学校がつくりたい
始めから「学校」が作りたいと思っていましたが、当時長男は2歳で、自分の子どもの成長に合わせるのが一番良いと思い、幼児を対象に「旅をする木」を始めました。始めは、ようちえんだけの運営でしたが、2019年に長男が小学校に上がるタイミングで、このような場所を必要としている小学生を対象にした「自由な学び舎」を開校しました。ただ、自分の子どもに「旅をする木」への入学を強制するつもりはなかったので、息子には「公立の小学校に行ってもいいんだよ。」っていう話はしていましたが、本人が選んだのは「旅をする木」でした。(下の子は公立の小学校に通っています)

スタッフとしては、子どもの近くにいる一人の大人として、感じたことや考えを伝えますが、親だってスタッフだって、迷うし、悩んだりもします。人生の正解なんて教えられない。答えを生き急ぐ必要はなくて、選択肢は色々あって良いと思っています。

「よく、公立の学校に行かなくて大丈夫?」って聞かれますが、旅をする木に通う「自由の学び舎」の子どもたちは、知識を競うテストをすれば点数は劣るかもしれませんが、読み書きや計算もその子のペースで学んでいっています。日々の遊びや暮らしの中からは、火を扱ったり、調理したり、小屋を作ったり、知識としてではなく経験の中から、自分らしく生きていく術を日々探しています。

ようちえんも小学生も、子どもたちの内側から沸き上がってくる好奇心、それに寄り添うスタッフと親がいれば、きっと学び(育ち)に繋がっていく、この子たちなら大丈夫だと思っています。


代表の得田 優(とくだまさる)(通称:とくやん)

 

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【所在地】
〒682-0432 鳥取県倉吉市関金町福原

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