リレーコラム
子どもの運動と足 松田隆

三間(さんま)の喪失

生活習慣病の予防のためには、運動は欠かせませんが、自動車をはじめとする交通手段の発達の中で歩くことが減り、運動不足となり、生活習慣病が 起こってきました。この生活習慣病は、今や大人だけの問題ではなく、子どもの頃からの運動不足の習慣が大きな要因となってきています。 現代の子どもたちは、遊ぶ時間もなく、安全で自由に遊べる空間(広場)もなく、友達と遊びたくても皆、塾や習い事で遊び仲間がいない、自由に 遊ぶための三間(さんま=三つの間=時間・空間・仲間)の喪失状態です。運良く友達と遊んだとしても、室内でテレビや漫画を見たり、テレビゲームをして、 同じ部屋の中にいるだけで、全く別のことをして楽しんでいます。戸外で、異年齢の子どもとごっご遊びや群れ遊びすることもなく、取っ組み合いのけんかを することもほとんどありません。

歩かない子ども

 こういった子どもを取り巻く環境の変化や運動不足から、背筋力は1985年-1995年の間に10歳男子で、全国平均が5%も低下し、直立二足歩行や姿勢に影響を与え、 握力や他の走る、跳ぶ、投げるなどの能力も低下しています。少し古い調査になりますが、井上高光氏の歩数調査(ウオーキング科学2,98年)によれば、幼稚園年長児の 1日の歩数は、84年に比べて97年は約21%少なくなり、家庭での運動不足の影響といわれています。
 また、倉敷市立短大の前橋明教授の5歳児の歩数調査では、87年は一日平均12,000歩、93年は約8,000歩、2000年には約4,900歩と激減しています。さらに、東京学芸大が79年に 行った小学生の一日の平均総歩数は27,600歩で、99年の山梨大の調査では、男子19,300歩、女子14,900歩と大幅に減少しています。

半年で0.5センチ!大きくなる子どもの足と靴

 このように、運動不足によって、偏平足(べた足)の増加など、足に問題を抱えている子どもたちが増えている現状を踏まえ、もう一度歩くことを見直すと同時に、 歩くことを支える靴についても感心を持つ必要があります。間違った靴選びによって足の故障や障害だけでなく、体のバランスに悪影響を及ぼすこともあります。
 特に子どもの足は、大人の足を小さくしたものではなく、歩いたり運動したりすることによって、足底のアーチ(土踏まず)も発達し、体を支え、バランスをとる 足として大きく変化していきます。また、足の形は個人差が大きく、一人ひとり違った足形をしていますので、その子の足形や成長に合わせた子どもの靴の選び方、 そして履き方、履かせ方も考えなければなりません。足は幼児期には1年間で約1センチ程度大きくなりますので、3歳くらいまでは3ヶ月、それ以降は6ヶ月ごとを目安に、 こまめに靴を換えていく必要があります。
 もったいないからと、大きいものを選んだり、他の子のお下がりを履かせたりしてはいけません。子どもの靴の選び方として、まず、つま先が広く、靴先は5ミリ くらいの余裕があり、かかとをしっかり包み込み、足が前に滑らないように固定されているかどうかを見ます。靴底は固すぎず、前3分の1あたりで簡単に曲がるもので、 履き口が大きく、履かせやすさもみて、実際に履いて歩き具合を確認し、わからないことはシューフィッターなどの専門家のアドバイスを聞くことも参考になります。